消費税の仕組みと納税義務/2種類の消費税の計算方法/簡易課税の計算方法と届出/簡易課税制度選択届出書の提出期限/本則課税と簡易課税の有利不利の判定

会計コラム 本則課税と簡易課税どちらが有利か

2015.9.11

本則課税と簡易課税どちらが有利か

消費税の仕組みと納税義務

消費税は「消費」に対して課税される税金です。「消費」とは、物やサービスを利用することをいいます。つまり消費税は消費者が消費を目的として、商品を購入する際に課税される税金といえます。
ただし、その税金の納付を商品の販売を行う事業者側に義務づけていることから、事業者は売上時に消費税を預かり消費者に代わって国に付します。このとき、仕入の際に支払った消費税は仕入先が売上の税金として納付する税金であることから、これを差し引いて納付します。

消費税は消費者が負担する税金ですが、その納税に関する義務を事業者に課しているため、事業者は決算時に納付すべき消費税額が計算し、申告する必要があります。

2種類の消費税の計算方法

売上の消費税(仮受消費税)−仕入の消費税(仮払消費税)=納付税額納付する消費税は、売上の際に顧客から預かった消費税から仕入の際に仕入先に支払った消費税を控除した差額として求めます。

この売上の消費税や仕入の消費税は、取引の内容から課税対象となる取引を分類し、分類された課税取引の金額の合計でそれぞれ計算されます。この計算方法が消費税の原則的な計算方法であり、一般的に本則課税と言われる方法です。

この計算方法はすべての取引を仕訳入力の際、課税対象取引かどうかを把握しておかなければならず、消費税の課税取引の判定に関する深い知識を必要とします。 売上に関する取引は、自社が自ら行う取引ですから取引の詳細な内容の把握が可能であることに対し、仕入は対象取引の種類が多く取引内容も正確に把握できない部分もあることから、本則課税による計算は専門的な知識を要する場合もあります。

そこで、仕入の消費税のみ、取引の分類を前提としない簡便的な計算方法が認められています。これを簡易課税制度といいます。

簡易課税の計算方法と届出

簡易課税制度は、売上の消費税額に対する一定割合を仕入の消費税額として、割合計算のみで仕入税額を求める計算方法です。この割合計算に使用する割合は、売上の内容ごとに法定で定められており、以下の割合を用います。売上の消費税額を求めたら、その税額に下記の仕入率を乗じた金額が仕入の消費税額となります。

売上げの内容 売上に乗じる仕入率
第一種(卸売業) 90%
第二種(小売業) 80%
第三種(製造業、建設業) 70%
第四種(飲食店業、その他の事業) 60%
第五種(サービス業) 50%
第六種(不動産業) 40%

簡易課税制度を用いると仕入に関する煩雑な処理がなくなるだけでなく、課税対象となる仕入税額の実額よりも割合計算で求めた方が納付税額を求める際に差引くことができる消費税額が多くなるケースも多く、納税者に有利となることも多い制度です。

ただし、簡易課税制度の適用は税務署への事前の届出が必要であり、単純に期末に計算した有利不利の結果のみで適用することはできません。

簡易課税制度選択届出書の提出期限

簡易課税適用には前々事業年度の課税売上が5000万円以下が条件簡易課税制度を選択する場合には、適用を受けたい年(法人の場合には事業年度)の前年末(前期末)までに所轄税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しておかなければなりません。

また、この届出書が提出されている場合であっても、基準期間(通常前々年又は前々事業年度)における課税売上高が5,000万円を超える場合には適用できません。

さらに、一度適用があった場合には2年間は本則課税に戻すことができません。したがって、仮に仕入の実額が多額に発生していて、簡易課税制度による割合計算では不利な税額となっている場合であっても、この2年間の強制期間適用期間中は簡易課税で税額計算を行うこととなります。そのため、簡易課税を適用する場合には、2年間の税額の予測をシミュレーションしたうえで、適用の有無を決定する必要があります。

本則課税と簡易課税の有利不利の判定

簡易課税は、本則課税での税額とのシミュレーションを行ったうえで、適用の有無を決定します。

本則課税による税額は、直近の損益計算書の費用科目のうち、「役員報酬」や「給与手当」などの給与の支給に関する科目、「法定福利費」「保険料」「租税公課」といった課税対象とならない費用科目の金額を除いた課税仕入れの税抜金額に税率8%を乗じて求めます。

この税額と簡易課税の税額(課税売上げの税額(税抜課税売上げ×8%に上記業種ごとの仕入率を乗じた金額)を比較して有利不利を判定します。あくまでもシミュレーションですので、正確でなくとも大まかに税額を把握します。

なお、直近の事業年度で、通常でない大がかりな設備投資がある場合には、通常よりも本則課税の控除税額が増える可能性があるので、注意が必要です。十分なシミュレーションを行ったうえで、上手に制度を利用していきましょう。

ライター
クリアワークス事務局
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