給与計算において、支給額の算出のほか、適正な方法で保険料や税額を求め、控除を行うことも重要な作業の1つです。今回は控除について触れていきます。

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第3回:給与計算に必要な「控除」の種類と解説 | 給与計算コラム

2015.9.12

給与計算に必要な「控除」の種類と解説
給与計算において、支給額の算出のほか、適正な方法で保険料や税額を求め、控除を行うことも重要な作業の1つです。今回は控除について触れていきます。

① 労働・社会保険

雇用と関連がある公的な保険には次のものがあります。

  • (A) 労災保険
  • (B) 雇用保険
  • (C) 健康保険
  • (D) 介護保険
  • (E) 厚生年金保険

(A) 労災保険

年齢、雇用期間の長さ、勤務日数や勤務時間の長短にかかわらず、原則として、すべての労働者が労災保険の適用を受けることとなります。

したがって、短期のアルバイトや日雇労働者も業務上や通勤途中に被災したときは、労災の保険給付を受けることができます。

労災保険の保険料は、事業主が全額を負担することとされています。そのため、給与計算の際に保険料の控除は行いません。

(b) 雇用保険

次の要件を満たす者が雇用保険の被保険者となります。

  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

被保険者の資格取得日(一般的には入社日。試用期間中も上記要件を満たすときは被保険者となります)以降に発生する給与から徴収を開始します。

なお、被保険者となる者、ならない者の詳細については、公共職業安定所にお問い合わせください。
保険料は実際に支払う給与や賞与額に保険料率を乗じて算出します。

保険年度の初日(4月1日)時点で満64歳以上の者は、雇用保険料が免除(会社負担、本人負担とも)されます。

保険料率は事業の種類により異なり、次の3つに区分されています。

  • 一般の事業
  • 農林水産など
  • 建設

年度により率が変更されることがあります。雇用保険の保険料については、公共職業安定所ではなく労働局・労働基準監督署で取り扱っています。

(C) 健康保険 (D) 介護保険 (E) 厚生年金保険 ※社会保険

適用事業所に使用されている人は、適用除外とされる者を除き、すべて被保険者となります。法人の役員は、原則として労災・雇用保険の対象となりませんが、社会保険は被保険者になります。

パートタイム労働者など労働日数や労働時間が短い者については、事業所と常用的使用関係にあり、次の2点のいずれも満たすときに被保険者とされます。

  • 1日の所定労働時間が、一般社員の概ね4分の3以上の場合。日によって勤務時間が変わる場合は、1週間で合計し、所定労働時間のおおよそ4分の3以上である場合。
  • 1か月の勤務日数が、一般社員の所定労働日数の概ね4分3以上である場合。

この基準は一つの目安であり、これに該当しない場合であっても就労形態や勤務内容などから常用的使用関係にあると認められる場合は、被保険者とされることがあります。

保険年度の初日(4月1日)時点で満64歳以上の者は、雇用保険料が免除(会社負担、本人負担とも)されます。

適用除外とされる者の例

  • 日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる)
  • 2か月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる)
  • 季節的業務(4か月以内)に使用される者
  • 臨時的事業の事業所(6か月以内)に使用される者

※健康保険では上記のいずれかに該当し、一般の被保険者とならない期間は「日雇特例被保険者」として健康保険の被保険者になることがあります。

保険料は「標準報酬月額(または標準賞与額)×保険料率」によって求めます。

一般的には、4月~6月の3か月間に支払われた給与などに基づいて1年間(9月から翌年8月まで)の標準報酬月額を決定します。

固定給の変動により標準報酬月額に2等級以上の差が生じるときは、標準報酬月額を改定(随時改定)します。

時間外労働の手当など毎月支給する額に変動がある場合でも、保険料は1年間変動がありません(保険料率の変更や随時改定に該当する場合を除く)。

  • 被扶養者の数に応じて保険料額が変動することはありません。
  • 健康保険料…75歳以上(原則)の者は後期高齢者医療制度の対象者となるため、給与から保険料控除は行いません。
  • 介護保険料…40歳以上65歳未満の者から徴収します。65歳になると給与からの控除は行わず、年金からの天引き(または市区町村への納付)に変わります。
  • 厚生年金保険料…70歳未満の者が徴収対象となります。70歳に到達すると被保険者の資格を喪失します。
  • 社会保険の保険料は、法令により、当月分保険料を翌月に支払う給与から控除することとされています(例:4月に入社をしたときは、4月分保険料を5月に支払う給与から控除)。保険料控除の方法について不明点があるときは、年金事務所にお問い合わせください。

② 所得税

所得税の算出に用いる税額表は、給与などの種類により異なります。

  • 月額表…月ごとに、半月ごと、10日ごとに支払う給与など
  • 日額表…日ごとに支払う給与など
  • 賞与に対する源泉所得税の算出率の表…賞与

なお、従業員から「扶養控除等(異動)申告書」の提出があった場合は税額表の「甲欄」、なかった場合は「乙欄」、日雇賃金には「丙欄」を用います。

  • 扶養控除等(異動)申告書は、その年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途入社の場合には、就職後最初の給与の支払を受ける日の前日)までに提出をしてもらいます。
  • 扶養控除等(異動)申告書は、2か所以上から給与の支払を受けている場合には、そのうちの1か所に提出することができます。
  • 電子計算機などの事務機械によって計算を行っている場合、月額表の甲欄を適用する給与などについては、税額表ではなく、別途定められた算式により源泉徴収税額を求めることができます。

税額表に当てはめる給与などの金額は、その月(日)分の給与などの金額から厚生年金保険料、健康保険料及び雇用保険料などの社会保険料などを控除した後の金額です。旅費、通勤手当などのうち、一定のものは非課税として取り扱われます。

源泉徴収した所得税は、徴収月の翌月10日までに納付します。なお、給与の支給人員が常時10人未満の会社では、年2回(1月20日、7月10日)に分けて納付する特例が設けられています。

③ 住民税

住民税の徴収方法には、次のものがあります。

  • 普通徴収…個人で納付する方法です。
  • 特別徴収…給与から住民税を控除し、会社が納入します。

毎年1月末までに、前年に支払った給与・賞与額などを「給与支払報告書(源泉徴収票に似た書類)」に記載し、市区町村に提出します。

その情報に基づき、6月から翌年5月までの住民税額を算出したものが、会社宛に通知されます。

毎月の給与計算の際は、市区町村から通知された額を控除し、翌月10日までに納入をします。

  • 普通徴収の対象となっている者ついては、各市町村に手続きをすることで特別徴収に切り替えることもできます。
  • 1月1日時点の住所地で課税されますので、年の途中で移転した場合でも従来の市区町村に対し納入します。。

退職をした場合の住民税の納付方法には次の3通りがあります。

  • 一括徴収…6月から翌年5月までの分として算出された額のうち、未徴収額を最後の給与や退職金から一括して控除します。退職日が1月1日から4月30日までの場合は一括徴収することとされています。
  • 特別徴収を継続する…転職後の会社で特別徴収を継続することができます。
  • 普通徴収…未徴収額を個人で納入します。

特別徴収した額は、徴収月の翌月10日までに納入します。なお、給与の支払を受ける者が常時10人未満の会社では、年2回(6月10日、12月10)に分けて納付する特例が設けられています。

アドバイス
今回のコラムで触れた社会保険については、会社が加入している制度により保険料率が異なることがあります。設定時に確かめた上で登録を行っていきましょう。

  • 健康保険・介護保険
  • 加入している制度が「協会けんぽ」「健康保険組合」のどちらに該当するかを確認し、各制度により定められた保険料率を用いて保険料を計算します。協会けんぽの場合は、会社と従業員が負担する保険料の割合が折半とされていますが、健康保険組合の場合は、会社と従業員の保険料負担割合が異なることがありますので気をつけてください。

  • 厚生年金保険
  • 「厚生年金保険」のみの会社と、「厚生年金保険+厚生年金基金」に加入をしている会社があります。どちらに該当するかをご確認ください。

ライター
クリアワークス事務局
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